札児連から厚労省に向けた文書の一部

当法人が事務局・副会長施設になっている札幌地区児童発達支援連絡協議会は今回の報酬改正について、以下の要望を厚労省に対し、意見しております。


 平成30年度障がい福祉サービス等報酬改定に関わる問題点 ・放課後等デイサービスに新しく子どもの状態像を勘案するための指標が設定され、平成30年4月から重度対応事業所と軽度対応事業所の2つに報酬区分が設定されることになりました。

 このことについて、市町村から平成30年4月1日までにすべての子どもの判定を行うことが困難であるとの意見が多く寄せられたため、厚生労働省では2月13日付けで都道府県宛に事務連絡を出し、「指標の判定に準ずる状態として市町村が認めた場合」でも可とする方向性が示されました。 

・区分1を算定する場合の判定方法について 札幌市の場合約6,000人の発給者がおり,区分1を算定するに当たっては,各区役所の窓口において聞き取り調査の上、判定となる。判定においては,1年間の経過措置が設けられているが,簡易的にまた客観的な判定方法(札幌市の場合は重症心身障がい児等)では行動障害等の知的障がい児、発達障がい児への適応が難しいことが予想されます。 

・区分1の判定の児が50%を超えない場合、職員を加配した場合の加算(児童指導員加配加算Ⅱ)がとれないことになってしまっております。上記該当者が50%以上の基準については日,月,契約者数のいずれかなのか,または別な基準なのか明記がありません。 

・市町村独自の方法が認められているため市町村によって大きな格差が出る。(横浜市はすべての事業所について31年3月31日までは区分1の重度対応事業所とみなす方向で調整中とのこと) 

・準備不十分のまま子どもの状態像を判定することは正確性にかける。(研修が必要)

 要望  

 上記理由により、移行措置期間として、平成31年3月末まで、すべての事業所を区分1-1とし、平成31年4月より、正式な区分認定を行うことを要望いたします。  

 平成30年4月からの報酬の低下による資金力不足の事業所が体制を整え、評価に値する事業所への経営努力の猶予期間も生まれつつ、行政的な混乱や保護者負担、事業所負担等も軽減されることが可能になると考えています。  

 今回の報酬改定にあたって、区分を設定したことについて、軽度の発達障害等(知的障害を持たない自閉症スペクトラム障害、ADHDや学習障害など)の受け入れが多い事業所について、報酬の減額が実質的に行われることとなりました。

 中重度障害を持つ児童への支援の充実が喫緊の課題なのは論を待ちませんが、軽度の発達障害等の児童への支援の重要性についての現場の意見も述べておきます。  

 軽度の発達障害等の児童は、学校での不適応、その特性から学習不振など、学校生活におけるつまずきを起こしやすいといわれています。また、保護者が子育てに困難さを感じ、適切な養育が行われないことなどもあり、不登校などの適応障害、行動障害、自尊感情の低下、精神疾患等、さまざまな二次障害を引き起こしています。  

 そのような児童については、本来は学校教育の中で解決すべき問題かもしれませんが、児童の特性に合わせた支援に加え、保護者に対する密な支援ということも鑑みた時に、放課後等デイサービスの役割は大きいと私たちは考えています。  

 多様で細やかな支援を受けることで、学校に適応したり、児童にあった発達の環境をつくったりしていくことが可能になります。そして、それが子どもの自尊感情を育て、生活スキルの向上だけでなく、進学や就労等のキャリア形成等に資することとなります。障害を持ちながらも、市民社会を形成する一員として成長していくことは、子どもとその家族に幸福をもたらすだけでなく、将来の社会福祉にかかる支出を抑制することにもつながると考えます。また、こういった支援の充実は少子化への対策にもなり得ると考えております。  

 そして、その役割の一端を放課後等デイサービスが担っている自負を多くの現場の人たちが持っていると私たちは考えています。  

 たしかに児童の預かり中心でテレビ等を見せているという事業所も多く、サービスの質について指摘されていることも含め、私たちは民間の福祉事業所として、改善していくべきことも多々あることも存じております。  

 サービスの質が低く、いい加減な事業所は淘汰されてしかるべきだとは思いますが、軽度の発達障害等の児童への支援について、質の高さも志向し、志をもち頑張っている事業所が、職員の働き方や処遇等も改善されながら、現場が疲弊せずよりよい療育が形作っていけるような、ご配慮ある制度設計を今後ご検討いただくことを要望いたします。 

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